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その間にも試合は進んでいく。気づけばいつの間にかツーアウトだ。健介達の投手は相手投手みたいに三振を取る力はないけど、打たせてアウトを取るタイプだから問題ないらしい。
相手打者の、ボールを打ついい音が聞こえたけれど、よく見ると平凡な内野フライ。これでスリーアウト。
フライを取るのとほぼ同時に、茜が戻って来た。隣には絵里ちゃんも一緒だ。二人が僕と同じように座って、三人でグラウンドを眺める。僕と茜が隣に座って、絵里ちゃんは茜を挟んで僕の反対側にいる。
あの告白から少し日が経ったとはいえ、教室が遠いせいもあって廊下ですれ違ってすらいないから、あれから今日初めて会った。正直、気まずい。
「そういえば、絵里ちゃんは今日誰を見に来たの?」
茜がいいタイミングで絵里ちゃんに話しかける。こういう時は茜の存在がいつも以上にありがたい。
「幼なじみが、試合を見に来てと言うので……」
「そうなんだ」
絵里ちゃんの幼なじみが誰かなんて知らないが、そんなことは全然問題ない。
「あの……茜さん達は誰の応援に来たんですか?」
絵里ちゃんが呟くような声で尋ねてくる。茜さんって言ってるし、僕は答えなくてもいいよね、うん。
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