4 信頼

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4 信頼

   。。。  殺意が失意に変わり、失意のうちに半月が過ぎ、再び月が満ちようとしていた前夜、ホスロの寝室を父王が訪ねてきた。 「父上」 「息子よ」  左の腰にいつも身に付けている宝剣が蝋燭の灯りで黄金色に輝いた。 「ダーラヤワウシュの息子ホスローよ。神の子よ」  父王はホスロに両手を広げた。父王の影は、さながら腕を広げた熊のような大きさがある。ホスロは意を解して、両手を広げて父王の太い胸を抱えた。父王は、まだ己よりも背が低い息子を、覆い隠して抱きしめた。 「そなたが神の子となった時、私は己の運命を悟った。それより今、片時もその運命を疑うことはなかった」  ホスロは父王の胸に顔を埋めて、服の裾を力一杯握りしめた。 「父上、私は──ホスロは、神の子などになりたくありませんでした」  父王が母后との間に2人目の男児が誕生したが故に、ホスロの宿命は定まってしまった。この父王が、この父が、この男が、母后と子を設けたが故に、ホスロは母后から恐れられ、忌まれることになったのだ。  父王の声は深く、強い慈しみの音に満ちていた。ホスロは父王の声が耳に流れ込んだ瞬間、自身の失意や不安が押し流されていくのを感じた。  この静かな抱擁が、何も言わずとも心地よい。 「息子よ。神の子よ。そなたが生きて戻るために、父は剣を贈ろう」
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