〜エピローグ〜

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敷地内に入るとビルに続く緩やかなグレーのタイルの歩道は新しく、両脇に植林されている緑はどれも若々しい。 木々達の幹は細いが葉っぱの緑は鮮やかで、太陽光に照らされてキラキラしていた。 人が多く出入りしている様子ではなく、なんとなく。休日の会社のビルに来たような。ひっそりとした落ち着いた空気感があった。 (んー。なんだろここ。凄く綺麗な場所だけども) ビルの入り口は広く高い。 それに黒い大理石の石柱が目を引き美しい。ハイブランドショップかホテルの入り口かと見間違えるほど。 近づいて行くとガラス張りの玄関が見え、その向こう側はさながらホテルのフロントロビーを彷彿させた。 そんな雰囲気から新しく建てられたホテルかと思ったら、入り口に看板があった。 『堂々完成。スカイタワーレジデンス•新築分譲開始!』 「ち、千晶さんここって」 思わず立ち止まって千晶さんを見つめると、千晶さんはくすりと笑って。 「結佳はここから、俺がいいよって言うまでお喋り禁止。俺に中を案内させて欲しい」 「えっ」 「それ以上喋ると──キスで口を塞ごうかな?」
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