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「さぁ、着いた。休みの日に色々と下見してここが良いなと思った。周りは公園があるから結佳とランニング出来そうだし。買い物だって一緒に出掛けやすい」
そうか。休みの日、千晶さんがお出掛けしていたのはきっとこの為なんだろう。凄く嬉しい。
やっぱり。千晶さんは此処に私と一緒に──。
その先は千晶さんから直接聞きたい。
そんな甘い思いを抱きながら。
耳を傾ける。
「一戸建てと悩んだけど。父さんの広い家に住んで居て、あんなに広くはなくていいと思った」
ふっと笑う千晶さん。
(確かに。あのお家は凄く素敵だけども広い)
私も釣られて小さく微笑する。
「今から行く部屋は3LDKタイプ。メインのリビングダイニングが広い。もちろん結佳が一人で寛げる部屋はある。でも、寂しいからなるべく俺の側に居て欲しいとは言っておく」
その言葉にドキッとする。
(それはつまり──私と一緒に住みたいってことですよね? 私の勘違いじゃないですよね? もしそうなら部屋に籠りません。邪魔じゃ無かったら、ずっとくっ付いていたのに)
早く全ての言葉が聞きたい。うずうずしてしまう。
そんな抗議も込めて。私の意思が伝わって欲しくて、周りに人が居ないのを確認してから千晶さんの腕にギュッと抱きつく。
千晶さんが微笑み、脚を止めた。
そこは部屋の扉の前。
「結佳に見せたい部屋はここ。この部屋の中の細かい案内は後にして。まずは俺と一緒にバルコニーに出てくれるかな? そこで──プロポーズしたい」
こくりと頷く。
やっと喋れる。やっと返事が出来ると思った。
胸がトクトクと高鳴り、千晶さんに聞こえているんじゃないかなって思った。
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