6237人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
「はい──結婚します。私も千晶さんが必要です……! ずっと一緒に暮らして行きたい」
やっと言えた喜びにまた涙がこぼれる。
「ありがとう結佳。二人で幸せになろう。だから笑って」
千晶さんが苦笑しながら私の涙を指先で拭う。
「む、無理ですっ……一度聞いているのにとっても嬉しくて、なんだか切なくて。胸がいっぱいでっ……!」
背中を優しく撫でられ。
また暖かな涙がこぼれる。
でも、千晶さんのせいで色々と欲張りになってしまった私は──そっと千晶さんの背中に手を回して。
「……キスしてくれたら。沢山キスしてくれたら笑えると思います……涙が止まらないのは千晶さん……旦那様のせいです。責任取って下さい」
「──それは大変だ。俺の可愛い花嫁さんのお願いは聞かないとな」
そう言っておでこをくっつけ合い──視線が合うと笑い合っていた。
「結佳、愛してる」
「私も愛してます」
静かに。風に言葉を乗せるように囁き合い、唇が重なった。
この瞬間をずっと忘れない。
千晶さん大好き。
私の大切な旦那様。
そう思って愛しい人の体をぎゅっと抱きしめるのだった。
─完─
最初のコメントを投稿しよう!