手が六本ある魔物がくすぐるのは反則だろ!

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手が六本ある魔物がくすぐるのは反則だろ!

今は冒険者の一人であり、魔導師として世に名を馳せている俺だが、ある重いトラウマを抱えている。 そのトラウマが再発しないよう、日々、気をつけながら旅を。 ある日、薬草を摘みに森へ。 雑魚しか出現しないエリアだが、魔物避けのアイテムを持参。 集中して薬草を摘むのに邪魔をされたくなかったし。 森に踏みいってしばらくし、貴重な薬草が生えた宝の山を発見。 浮き浮きと薬草を摘んでいたところ、背後の藪が揺れる音。 「魔物避けアイテムがあるから人だろう」と思い、目をやったところ、腕が何本も生えた異形の者が跳びでてきて。 地面にうつ伏せに俺を倒して抑えつけた。 が、しょせん雑魚。 呪文を唱えれば、瞬殺できたが、口を開くまえに二本以上ある腕、その手が脇腹に。 「ちょ!」と肩を跳ねた間もなく、思いっきりくすぐられた。 とたんに全身が火照って、どっと汗が噴きだし、肌は痙攣してやまず。 「ひい、はう、くあ・・・!」と息を切らして呻き、悶えるばかりで、呪文を唱えるのがままならず。 「はあう、ふ、ふう、くうあ、や、やあ、やめ、ひぎいあああ!」 びくんびくんして奇声をあげたら、さすがに驚いてか、手をストップ。 「女の悲鳴か!」と近くから聞こえ、魔物は退散。 すこしして現われた冒険者たち曰く「そりゃあ、ロクテだな」と。 「見た目はまんま人だが、手が六本ある。 その手で、相手が身がまえるまえに全力でくすぐって、攻撃を阻むわけだ。 くすぐりながら、アイテムとか装備を盗むらしいが、あんたは大丈夫か?」 「ああ、ありがとう」と笑いかえしながらも、ローブの下でもぞもぞ。 「ズボンでなくてよかった」と心底、思う。 股がお漏らししたような有様になっているから。 そう、俺はくすぐられると、射精してしまう珍妙な体質。 この体質が原因でのトラウマがあるのだ。 幼いころから、くすぐられると過剰反応し、子供たちの餌食に。 そのうちの一人にしつこくやられて、十四才になっても追い回されて。 好きな女の子のまえで、くすぐられて射精を。 翌日、村をでて、なんやかんやあって今に至るわけ。 魔導師として成功を収めながらも、人に触られるのを避けて、村をでて十年経っても童貞。 そんな哀れな歩みを経て、魔物の手でイかされるとは・・・。 またトラウマが一つ増えたとはいえ、助けてくれた冒険者が教えてくれたことには「ロクテはこの森にしか出現しないレアな魔物だから」らしい。 だったら森から離れれば一安心。 と思っていたのだが。 そうして一悶着あったものを、気をとりなおして旅を再開。 ロクテの生息地からかなり離れて、すこしは警戒を解きながらも、魔物避けは肌身放さず。 これを落として、まえは襲われたので。 夜の山中で見張りをしていたとき。 おしっこをしたくなり、たき火のまわりにバリアをかけ、仲間を起さぬよう離脱。 パンツをずらしたところで、真正面からロクテの急襲が。 「今回は魔物避けを持っていたはずが!」と油断していたこともあり、またもや六本の手にやられ放題。 「くうあ、は、はあ、はひい、た、助けてええ!」と叫ぶも、バリアには防音効果があるので無駄。 なす術なく、くすぐられて追いつめられ「ひい、ひにゃああ!」と射精。 「もう、まともに自慰もできなくなるかも」と絶望したとはいえ、ロクテは手を休めてくれず。 尚もくすぐりながら、ローブをめくって、丸見えのそこ、尻の奥に指を。 男と体を重ねたことがなければ、自分でいじったこともなし。 とあって、固く閉ざされているはずが、くすぐりの猛攻に乗じて、尻の奥を指で掘られ「はあ、あん、だめえ、そんな、広げ、ちゃあ・・・!」とあんあん腰を跳ねてしまう。 荒波のような快感が、痛みや抵抗感を打消し、体の感覚を狂わせているよう。 尻をいじられてヨがっているように体をくねらせ、イきそうになった直前、先っぽの絞めつけを。 「はう、や、やあ、手、放してえ、だ、だしたく、な、けどお、ああ、ああ、ああん、は、破裂、するう・・・!」 本気でそう思い泣き叫んだものを、精液をださずに絶頂を。 経験のない俺にしたら異常事態なれど、体は芯まで快感に痺れるし、くすぐるのもやめてくれないし。 未知の快感に目を回すのに、ロクテは容赦なく、凶器のような巨根を奥までぶずちゅうう!と貫いた。 ただでさえ、くすぐり地獄で快感が飽和状態なのだ。 その体に、突きぬけた刺激を叩きこまれては、もう正気でいられず、号泣しながら笑うように、乱れ狂ったもので。 「ふああ、き、きもち、きもちい、あん、ああん、こ、んな、なら、もっと、エッチ、して、おけ、ば、ひいあ、あ、あ、あ、くすぐる、の、しゅごお、きもち、よしゅぎ、はあうん、し、死んじゃ・・・!」 目が覚めると、どうしてかロクテがうな垂れていて、申し訳なさそうに語りだしたもので。 なんと彼は、俺の故郷の元村人という。 というか、いちばん率先して俺をくすぐっていた悪餓鬼だ。 俺が村をでたあと、追いかけるように旅へ。 例の森を通ろうとし、魔術をつかえる魔物に、ロクテに変身させられたとか。 変身後の記憶はななく、魔物の本能に支配されていたよう。 が、俺をくすぐったことで、人としての意識がもどりかけた。 逃げたあとは、また本能に飲みこまれ、でも、俺を求めて森の結界を突破。 ついに見つけだした俺を蹂躙してから、こうして完全に人としての主体性をとりもどしたわけで。 なるほど、ロクテは元人なのか。 だから、魔物避けが利かなかったのかも。 そのことに納得しつつ、あとは過ぎたこととして、あまり気にせず。 土下座する彼の顔をあげさせて質問を。 「どうして追いかけてきた?罪悪感から?」 「いや、その、おまえが村をでていってから自覚したんだよ。 好きだってこと」 まあ、魔物に強姦されるより、心が魔物化した人間に襲われたほうがましだろう。 それに彼は、俺の異常な体質を知っても尚、追いかけてきたほど好意を持っているのだし。 ロクテになった彼をつれていくのは難しいだろうが「一生人と触れあえないかも」と絶望していた俺にしたら、前途は明るいように思えたものだ。
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