月曜日

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月曜日

 月曜日。人気のない川崎大師でお参りをした僕は、独りで境内を散策する。しばらくすると、端っこの方に鯉が戯れる池を見つけて、しばし魚たちの悠々自適な生活を観察する。  境内を出て、冬終盤にもかかわらず四百円するソフトクリームを購入し、食べ歩きながら駅まで向かう。観光客もほとんどおらず、いるのは街の住人くらいだった。暇なのか、和菓子屋のおばあちゃんと阪神タイガースの帽子をかぶったおじいちゃんが軒先で談笑している。ワンカップを持ったおじさんがフラフラしながら自転車を漕いでいる。空にある雲は気付かぬうちにコマ送りされている。空っぽになった空き缶は道路の脇に転がり、中華料理屋からは脂っぽい匂いがする。どこからか鳥が飛んできて、落ちていた何かの粕をクチバシで摘んでいる。  僕はこれらすべての日常を、不思議に思う。人間の声や動きも、本能に従う鳥も、捨てられた空き缶も、作られる中華料理も、動く雲も、何もかも。  きっとこれが昨日なら、周りの景色に意識を向けることはなかったかもしれない。もしかすると、今日が静か過ぎるのかもしれない。だから余計に意識が向いてしまうのかもしれない。 『これからもよろしくね』  人を信じる。それができるのは、ほんの一部の人だけ。 『また、会えるから』  嘘や偽りを知らない、純粋な人だけに許される、希望を持つということ。 『じゃあね、また会える日まで』  僕らはどこかで巡り合い、どこかではぐれた。すべての景色が動き続けているのに、僕らだけがどこかで終わった。
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