運命は夜に散る

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 窓からは、眩しい日差しが降り注ぐ。  陽の当たるベッドに寝転んで思い出に浸っていたら、スマホがぶうんと布団の上で振動した。手探りで掴んで、通知を見る。新着メッセージがあります――  暁斗からだった。思わずガバッと跳ね起きた。 『今日空いてる?』  一ヶ月も連絡がなかったのに、久しぶりとか元気かとかまったくない。暁斗はいつもそう。必要最低限の言葉しかくれない。だから、付き合ってるあいだも好きだなんて言われたことがなかった。  きっと、暁斗は付き合っていただけで、私のことは好きじゃなかった。  私ばかりが好きだった。 『空いてるよ』  送った途端、返事が届いた。 『19時。大学の裏門で』  どうして裏門なんだろう。その先にあるのは小高い丘で、丘のてっぺんには恋人たちが絶対に寄りつかない寂れた神社があるだけだ。  家内安全や病気平癒を掲げたその神社に、恋人同士で訪れると必ず別れるらしい――そんなよくあるジンクスだけど、学内の信憑性はけっこう高い。  だから私は付き合い始めたばかりのころ、裏の丘には絶対に行かないと暁斗に宣言した。  そこまで考えて、暁斗の意図に思い当たる。手の中でまたスマホが震えた。 『歩きやすい格好で』  やっぱりそうだ。間違いない。そのままスマホを見つめていると、ぽた、と画面に水滴が落ちた。  気づけば私はまた涙を流していた。  たぶん暁斗は、私と友達に戻ると言ったことを後悔してる。二人で神社に行って、私ときっぱり別れたいと思ってるんだ。  ばたりとベッドに倒れ込んで、枕に顔を埋めた。  大丈夫。友達なんかじゃなくて、もう会うこともないほうがきっと楽。  私ばかり好きで、私ばかり好きで好きで、それが苦しくて別れたかったんだから。
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