運命は夜に散る

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 付き合って半年の冬の頃、暁斗のお母さんが病気で倒れた。私がそれを知ったのは、手術が終わって退院した春だった。  言ってくれなかったのが悲しかった。  会う頻度の減ったその期間に、なにも知らずに浮気を疑ったりした自分自身に、腹が立った。 「どうして言ってくれなかったの? 私のこと好きならもっとなんでも話してよ」  久々に暁斗の部屋に来ていた。  責めるような言葉を吐いた私に眉をひそめた暁斗は、なにも言わずに部屋を出て行った。  悲しくて、泣いて、泣きながらベッドで布団をかぶって暁斗の匂いに包まれていた。  夜中になって、鍵の開く音がして、暁斗が帰ってきた。私は涙でぐしょぐしょのまま寝たふりをしてた。  ギシ、とベッドが少し沈む。  布団から出ている私の頭を暁斗の手が撫でる。一回、二回、三回。  もう一度ベッドがギシ、と鳴ると、暁斗の気配は遠ざかり、やがてシャワーの音が聞こえてきた。
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