27人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
初めて登ったこの丘は、想像よりも歩きづらかった。両脇には高さの低い木々が風に揺れていて、遊歩道の階段は石や木の根でゴツゴツしている。
そんな道なのに、暁斗は迷いのない足取りで進んでいく。
すっかり暗くなった道を、暁斗の持ってきた懐中電灯で照らしながら歩いていた。
「わっ」
階段に隆起していた石の上で、突然足が滑った。
バランスを崩す私の腕を、振り返った暁斗が掴む。支えられて、転ばなかった。
「ありがと」
私が言うと、暁斗はすっと手を離した。暁斗の体温が離れていく。
友達は、気安く触れてはいけないんだ。
思い知って、胸が潰れそうになる。
最初のコメントを投稿しよう!