Alien Abduction エイリアン・アブダクション

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 それからもホズミンは週1で私の勉強をみてくれることになり、夏休み中に中学の数学を総復習という目標を設定された。夏休みは数学だけじゃなく、英語も含めてみてくれるとか。 「歩積君のおかげで追試もクリア出来たし、これからもよろしくね」  母の機嫌もよくなったので私も一安心だ。 「ナツは先生の言った通り、やれば出来る子、潜在能力は高いからね」 「でも、そろそろ顕在化してもらわないと困るわ。潜在能力のままじゃね」  ホズミンと話す母はいつも楽し気で、さり気にこっちも嬉しい気分になる。母子家庭で私の世話を一人で引き受けてきた母には感謝しかない。なかなか、言えないけど。フルタイムで働いて、私のご飯も作ってくれて・・・私にはとてもじゃないけど、大人になっても出来そうにない。  母が部屋から出ていき、ホズミンと二人に戻る。 「ご褒美をあげなくちゃね」 「ご褒美?」 「追試をハイスコアでクリアしたご褒美。何がいい?」 「だったら駅前に出来たアイスクリーム屋さんのパフェ。果物いっぱいのってるやつ。確か2300円」 「ナツは遠慮というものを知らないね」 「遠慮はするもんじゃないっていうのが長谷の家の教えだから」 「それは初耳。じゃあ、いつがいい?」 「本当に連れて行ってくれるの?」 「うん、ナツとデートだね」 「えっ?」  母が用意してくれた飲み物の入ったグラスを強く握り込んでしまう。なんでこうホズミンはちょこちょこ私をからかうのか。 「ただのご褒美タイムでしょ?」  私がそう反論すれば、私のリアクションを観察していたらしいホズミンは涼し気に笑う。 「おぼこい」 「はぁ?」 「新しく学んだ日本語、使う機会なんてないと思ってたけど」 「なんか普通にムカつくんですけど」  多分、私が少し拗ねた顔をしたせいか、また頭をポンポン。もう子供じゃないっていうのに。 「今度の土曜日、午前中で学校終わりでしょ?準備できたら連絡して。駅前で待ち合わせよう」 「私、ホズミンの連絡先知らないけど?」 「後で連絡先のID、交換しておこうか」 「ホントにいいの?お高いよ?」 「ナツの家庭教師代も入るしね」 「なんかお金がグルグル回っているだけのような気もするけど。私としては奢ってもらえるならラッキーってことで」 「じゃあお勉強の続きしようか」  ホズミンの教え方は分かりやすい。私のひっかかりをスルスルと解いてくれる。頭のいいひとは出来ない人の気持ちが分からないというけど、そうじゃない人もいるんだな。 「手が止まってるよ。総復習が待ってるから、テンポ上げていかないとね」  そしてさり気に、スパルタです。
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