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土曜日が楽しみだった。学校から速攻で帰ると、鏡の前で何度か着替えをして、準備OKのところでホズミンに連絡して。駅前に行けば、ちょっと格好いい人が待っててくれている。ホント、これって、デートみたい。舞い上がりそうになる気持ちを抑える。
「ホズミン」
私が声をかけると、振り向いてくれた。ズルいよな、この表情。勘違いしそうになるじゃないか。ホズミンがキレイ目系のお姉さんとデートしているのは何度も目撃しているというのに。私なんか、ただの従妹で中学生でおこちゃまなのは分かっているけど。
「ナツ、今日は可愛い」
「今日は、って何?」
「最近、制服姿かTシャツ、短パンみたいな恰好しか見てなかったから」
「勉強するのにオシャレしてもしょうがないじゃん?」
「それもそうか、じゃあ、お店行く?」
「うん」
お目当てのお店はちょっと混んでいたけど、ホズミンと二人でおしゃべりするなんて滅多にないことだから、なんかそれはそれで楽しくて。パフェも盛りだくさんで写真もいっぱい撮っちゃったし。スタッフさんに「お撮りしましょうか?」なんて言われたから、ついついお願いししてしまって。パフェを囲んでツーショットの写真まで撮っちゃった。
「ごちそうさまでした。美味しかったです」
「また頑張ったら、ご褒美をあげるよ」
「頑張ります」
ホズミンは家までちゃんと送ってくれた。それは私の家庭教師のお仕事があったからだったんだけど。でも、その日は勉強のやる気がMAXで、自分でもやれば出来る子なんじゃないかって思えた一日だった。
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