嘘つきな舌は苦く苦しい

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「だって、ユウ君忙しくて、あんまり会えないし。それにさぁ、好き同士で、一緒にいたいって思ったら、離れて暮らしてんのおかしいし、ずっと一緒にいるんだったら、結婚して家庭持つのが良くない?」 「う~む……理解が追い付かん……。てかさ、そのユウ君は、結婚肯定してんの? 全部、明日香の妄想じゃなくて?」  眉間に皺を寄せまくる私に、明日香はからっと明るく笑って言う。 「大丈夫だよ~。ユウ君も結婚いいねって、しようって言ってるし!」 「全面肯定っていうのも、それはそれで心配になるなぁ……」  私はまだユウ君に会ったことはないけど、ろくでもない男感が拭えない。  当事者である明日香は、特にそうは思っていないようで平然としている。  ああ、ラブ・イズ・ブラインド。 「莉子さぁ、そんなに深刻に考えてたら、いつまで経っても結婚できなくない? いざとなったら、離婚だってできるんだから」 「一理あるかもしれないけど、婚約中にそれを言うかね」 「ふふっ。ほーんと、莉子は心配性だねぇ」  呑気に笑う明日香。何を言っても、本気の恋に落ちた女には通用しない。 「はーい、スイマセンでしたー」  お手上げ、というように両手を広げてみせてから、私はラグの上に寝転がった。  だってさ。  一年半、密かに片思いしていた相手がさ。  私がオススメしたカフェバーに一人で行って、そこでカウンターの席が隣り合った男と運命の出会いを果たすだなんて、しかも、たった三ヶ月の付き合いで結婚を決めるだなんて、誰が想像できたっていうの?  今でも思うよ。  もし、私があの店を勧めなかったら、このルームシェアは永遠に続いていたのかなって。
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