1ー4章

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1ー4章

 「あッッ!!」  カブトムシ・ラクレスの三叉の槍が銀色の戦士の左足を貫く。  根元まで貫かれ、引き千切られた筋繊維が、ハムみたいに角の先端にぶら下がる。  ガクガクと腰がくだけ、崩れそうになる身体を、気力だけで必死で立たせるファントムガール。  「ッッッ!!!」  右腕が切断されたような激痛。  クワガタ・チタヌスの顎が、華奢な少女の右腕を挟みこんでいた。  ブチブチと腱や筋肉が切れる音。赤い飛沫が端正な銀のマスクを彩る。  「ほうほう、ガンバッテいるなあ。だが、本番はこれからだ」  少女戦士の肢体に食い込んだまま、槍と鎌が熱と電撃を帯びる。  ジュ―――ジュジュジュジュ~~~~ッッッ・・・・  バリバリッッババババババッッビチィッッ・・・・・  「うぐうッッ!!うぎゃあああああーーーーッッッッ!!!!」  悲鳴を挙げぬ。挙げたら屈したことになりそうで・・・そう誓っていた少女の内面を嘲笑うかのように、敗北の中、わずかに見せた反抗も、いともたやすく破られた。己の肉の焼ける臭いが、ファントムガールの鼻腔を刺激する。  「ハハハハハ!いい歌だ!もっとさえずってもらうぞ」  熱と電撃が同時に止む。右腕の神経が剥き出しにされ、ヤスリで削られているよう。左足は焼きゴテが溶けた皮膚にくっついてしまったかのようだ。一時の休息に、ハァハァと荒い息をつくファントムガール。なぜ、攻撃を止めた?一体・・・何を考え・・・・・!!!  「うわああああーーーーッッッ!!!いやあああーーーーッッッ!!」  わずかな安息に気を抜いた瞬間、細胞を灼く熱と電撃が、再び守護天使を襲う。  あまりの苦痛が感覚を破壊し、少女はどこが痛いのかも忘れて、大の字で絶叫続ける。体中に開けられた穴から、ドクドクと真っ赤な血が銀の肢体を伝い落ちる。永遠に続くかと思われた拷問は、また不意に終了する。  「ああッッ!!・・・・くうッ・・・くッ・・・・い・・痛みに・・・・慣れさせないつもり・・・・・!!きゃああああああーーーーッッッ!!!」  止めては始め、始めては中断し・・・・・・ランダムに続く激痛に、痛みを和らげるアドレナリンが、反応しきれなくなっていく。また、繰り返されることで、細胞が恐怖心を抱き始め、痛みが倍化されていく。  もはや、全身の痙攣は止まらなくなった。  「あぐあァァッ・・・・あッ・・・・ああ・・・・・・」  「ん~~~、いい顔だ・・・・無表情に見えるそのマスクが、歪んでいるのがわかる・・・」  貫かれた足と腕は、焼け焦げ、炭化している。艶やかな金色交じりの茶髪は、水分を失い、ボサボサになっていた。あれほど輝いていた銀の肢体も、埃と血にまみれ、黒ずんでいる。    「ワハハハハハ!惨めだな、ファントムガール!チタヌス!腕ではなく、もっと効く場所に電撃を流してやれ」  クワガタの顎が、美しい少女の頭を挟む。  右腕を灼き尽くし、筋繊維をズタボロにした、電撃刑・・・・そんなものを直接頭部に食らったら・・・・  「やめ・・・・・やめ・・・て・・・・・・・・」  か細い声で、ふるふるとかぶりを振る。拷問により半失神となった守護天使にとって、敵に哀願する惨めさなど自覚すべくもなかった。  「よし、やれ」  バチバチィッッ!!バシュンッ!バシュバシュッバシュンッッ!!  「いやあああああーーーーーーッツツツツ!!!!!」  全身を弾かせて、ファントムガールの意識は、白い世界に取りこまれていった。  人類の目の前に、絶望的なシーンが広がる。  巨大なクワガタの鎌にこめかみを挟まれ、全身をダラリと力無く垂らした守護天使の姿がそこにはあった。  貫かれ、抉られ、斬られ、弾かれて・・・・流れ落ちる朱の雫が、足元に池のような血溜まりをつくる。一体、何万ボルトの電流を浴びせればこうなるのだろう。全身に送りこまれた高圧電流によって、ファントムガールの銀と紫の肢体は、あらゆる箇所で内側から爆発し、皮膚は弾け飛んで・・・・・タンパク質の焦げた悪臭と紫煙を立ち昇らせる。  「ククク・・・人類の諸君、見ているかね?キミ達を守る守護天使とやらは、ご覧の有り様だ。だが、安心するがいい。死んではおらん。これから最高のショウをお見せしよう」  メフェレスがピクリとも動かぬファントムガールに近付く。  埃にまみれた長い髪を掴み、汚れて尚美しい顔を晒しあげる。  三日月の口から、ピンクの舌が意志を持った生物のように這い出て、ベロリと少女を舐めあげる。  巨大なヒルを思わせる舌が、小さく厚めの銀の唇を割って、侵入する。  ジュッルルジュルルル・・・・  吸われている。ファントムガールの舌が。  異形の悪の宇宙生物に、その唇が犯されている。  ピクピクと痙攣するファントムガールの指。先程とは違う種類の痙攣。  ピチャピチャと唾液の混じる音。舌が吸われ、絡まれ、上顎の歯の裏が舐めしごかれる。溢れる唾液が、透明なスライムとなって、口の端からトロトロとこぼれる。  小ぶりだが、形のいい乳房は、銀色の肢体の中で、それとハッキリわかる。  青銅色のゴツイ掌の中で、それは散々弄ばれていた。  揉まれ、突つかれ、回され・・・・なんということか、二つの突起物まで、誰の目にもわかるほどに露になっている。  オモチャのように遊ぶメフェレスの、ぼんやりと光るその手がいかなる作用を生むのか、いつのまにか覚醒したファントムガールから、苦悶とは別の吐息が洩れ始める。    「あくう・・・・・あはァッ・・・・・・な・・なんで・・・・・・」  「ククク・・・お前を殺すことなど造作もない・・・・屈服させることに意味があるのだ。どうだ?敗れた相手に犯される気分は?・・・感じさせられる気分はどうだね?」  「あくはあッッ・・・あッ・・・アアッ・・・・・屈服など・・・しな・・・・」  光るメフェレスの手が、両の乳首をくいと引っ張る。  「ひィやああッッ!!・・・・あはあッ!・・・・あふうッ!・・・・あ・・あ・・・や・やめ・・・・・」  「効くだろう、ファントムガール?私の前では、お前は単なる小娘にすぎん。ほら、こうするとどうなるんだ?」  銀の乳首がこりこりとしこりあげられる。ファントムガールにとって初めての刺激が、本能の深い部分に電流を流す。眠っていた淫靡な蛇が鎌首をもたげ、少女の下腹部を激しく掻き乱す。隠しきれない悦楽の衝動を確認し、青銅の悪魔は宿敵の萌芽をより一層の愛撫で仕上げにかかる。  「はふあッッ!!・・・かふッ・・・ひィやううううーーッッ!!ぎひィィィィ―――ッッ!!!」  愉悦の嵐が少女の蜜園を沸騰させる。燃え盛る溶岩が下腹部に疼き、脊髄を駆け登って脳を衝き抜ける―――  ビジュッ・・・ジュッ・・・・・  「ワハハハハハハ!こりゃあいい!!正義の味方、聖少女とやらも潮を吹くらしい!ウハハハハハ!」  血溜まりに飛んだ泡のような液体を、ファントムガールは虚ろな瞳で見ていた。それがなにかは良くわかっていなかったが・・・・目の前のメフェレスという怪物に、敗れたことだけは理解した。  「グワハハハハ!まだまだァァーーッッ!!そりゃあ、ファントムガールよ!気持ち良かろう!狂ってしまいそうだろう!」  光る手が乳房を、強く、柔らかく、揉みしだく。先端を上に曲げ、下に曲げ、右に曲げ・・・・最高の玩具を嬲り尽くす。  「ぎィひィやあああーーーッッ!!やめてェェッッーーーッッ!!狂うゥッッ!!狂ってしまうッ!!お願いッ!もうやめてェェッーーッ!!」  衆人の視線も忘れて、ファントムガールは泣き叫んだ。もう、動けなどしないのに・・・・・左右の背後から足を踏み、両腕と金色の髪を掴んで少女を大の字に固定する、二匹の怪獣の嗜虐性が、余計に哀れさを演出する。  「ほう。ならばやめるか」  「ええッッ?!!」  ファントムガールの嘆願に、メフェレスは素直に応じる。愛撫する両手を躊躇なく引っ込める。呆気なさに、聖少女は驚きの声を唇から漏らした。なぜ・・・?その答えは間もなくわかった。地獄の責めは終わったが・・・熱い火照りが、少女の細胞を侵食していく。  「うくッ・・・・くううッッ・・・・・」  「おや?どうした?やめて欲しいというので望みを叶えてやったのに、随分と切なげではないか?」  「うぅぅ・・・・・・ああぅッ・・・・・・・はぁ・・・・ああぁぁ・・・・・」  からだが・・・・熱い。息をかけられるだけで電流が走るほどに、回路を強制的に繋げられ、ファントムガールの細胞は発狂寸前になっていた。肉片を抉られ焼かれた激痛と、失血による脱力感に加え、本能の昂ぶりを極限にまで高められて・・・少女の意識はとっくにオーバーヒートしていた。その青い瞳には、もはや何も映っていない。  そして、今、鍋の中で高めに高められた内圧は、爆発手前で、戯れによって中断されてしまったのだ。絶頂を迎えるに迎えられず・・・昂ぶりを抑えることも叶わず・・・達する寸前の無情感が、聖なる少女の激情を、黒板に爪をたてるように、永遠と思われる1秒単位で掻き千切っていく。  そして、とどめの一言が、官能に溺れる脳髄を射る。  「いま、続けて欲しいと思ったろう?」  衝撃が心臓を打ち、血流が頭に昇る。  「ワーッハハハハハ!負けるとはこういうことだ!ファントムガール!」  青銅の手が、敗北を知った守護天使の秘所に潜り込む。  「!!!!!」  「ビチョビチョだなあ~~・・・ククク・・・・愛液を枯らしてやろう・・・人類よ!お前達の救世主のAV、よ~~く見るんだな!ハハハハハ!」  「さて・・・そろそろ60分か。遊びはここまでのようだな」  三日月の笑いを浮かべた悪魔が見下ろす先に、赤と白の粘液の海に沈むファントムガールはいた。自らの、血と愛液の海に沈む、少女戦士。  三体の敵に3度づつ、少女はイカされた。  昆虫の角と鋏でイカされ・・・・悪の首謀者たる男には、全身を賞味尽くされた。  そして、その姿は全国に放送された。  「もうすぐで変身の解けるころだな、ファントムガール」  「!!!・・・・・な・・・・・・なぜ・・・・・・・そ・・・・れを・・・・・・・」  「とどめだ」  青銅の右手から、ズブズブと棒が抜き出てくる。体内に武器を隠していたらしい。棒はやがて、刀となった。  横たわる銀の戦士の元へ、メフェレスが移動する。  青い瞳も、胸と下腹部の水晶体も、その輝きを失い、弱弱しい灯火が揺れるのみ。  「ククク・・・」  躊躇なく、刀が振り下ろされる。    ズブリ・・・・  左胸を貫く、青銅の刀身。  ビクリと仰け反る銀の戦士。  灯火が消え、次の瞬間、光の粒子となって、ファントムガールの身体は霧散した・・・・・  少女の残した血溜まりに突き立てられた刀を抜き、青銅の魔人は勝利の雄たけびを揚げる。  「フハハハハハ!ファントムガールは我が軍門に下った!この星は私のものだ!まずはこの国を頂こう。1日、時間をやろう。明日の同じ時間までに、降伏か、滅亡か、選ぶがいい。ウワハハハハ!ハーッハッハッハッハッ!!・・・・・・」
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