1・秘めた想い

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「おーい、久保」  室長に呼ばれ、話はそこまでになった。 「ちょっと来てくれる?」 「はーい」  デスクまで行くと、都築もまだそこにいた。 「これさ、ちょっと練り直しくれる? こいつ、しつこくてさ」 「えっ、検討してくれるんすか。やった」 「室長が根負けするなんて珍しいですね」 「まあ、こいつの言うことも一理あるからさ」  これ見よがしにその紙をひらひらさせながら、わたしは都築に文句を言った。 「もー、ただでさえ忙しいのに、余計な仕事増やさないでよ」 「わりー。頼むよ。その代わり、売り上げ倍増、約束するから」 「言ったな。ちゃんと覚えとくからな。そのセリフ」  わたしたちが言い合うのを横目で見ながら、佐藤室長がぼそりとつぶやいた。 「仲いいな、相変わらず」 「いやー、ただ付き合い長いってだけで。なあ」 「そうそう」 「とか言って、そのあうんの呼吸、ほとんど夫婦(めおと)漫才だけど」  室長の言葉に、やめてくださいよー、とふたり同時に言ってしまう。
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