1・秘めた想い

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 室長は苦笑した。 「ほら、言ってるそばから、それだからな」 「まあもう9年ですからね。知り合って」  都築がふざけてわたしの肩に手を回す。  わたしはそれをうるさそうに振り払う。 「しかし、珍しいな。異性でそんなに長く友情が続くのは」 「そおっすかねー。でも、俺、こいつを女と思ったことはないんで」 「そうそう。単なる腐れ縁ですから」  負けじとわたしもそう言い残して、自席に戻った。 「都築さん! 朱利先輩の子分の島崎麻央で〜す。どうぞお見知り置きを」 「麻央ちゃん……ね、よろしく」  さすが、麻央だ、どんなチャンスも逃さない。    席につき、暗いパソコン画面に映る自分の顔を眺める。  みんなの前では本心を隠しつづけている顔。  今も、心のなかでは麻央や都築が言った言葉がくすぶっていた。   ――あんなイケダンと、よく清い関係でいられますよね。 ――女と思ったことないんで。    白状してしまえば、都築に出会った9年前からずっと、友情以上の気持ちを抱いている。  実は、今でもそう。  しつこすぎて自分でも笑えてくる。
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