1・秘めた想い

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「誰に惚れようが自由だけど。恋愛にうつつを抜かして仕事をおろそかにしないでよ」 「へーい」 「ほんとにわかってんだか……」 「でも、朱利先輩ずるいなあ。都築さんとは仲いいし、室長には可愛がられてるし……男運サイコーじゃないですか」 「うーん、でも肝心な彼氏には恵まれてないからねぇ」  何しろ、ここ6年、ずっとフリー。  入社2年目、販売員をしていたころ知り合った大学生と付き合ってみたけれど、3か月で自然消滅。  以来、恋愛とは縁遠い生活を送り続けていた。  それが何故なのか。  実は、心当たりはありすぎるほどある。 「ガード固すぎるんですよ、先輩。それか、いい男に囲まれすぎてる弊害かも。他の人がくすんで見えちゃうとか」  そう。佐藤室長と女子人気を二分しているのが、この都築だ。 「ねえ、朱利先輩って、ほんとに都築さんと1回もやっちゃったこと、ないんですか?」  思わずコーヒーを吹きだしそうになった。  ストレートすぎるだろ。おい。
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