プロローグ
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いまだに心に引っかかっていることがある。 ――なあ、キスしていい? あのとき、キスを交わしていたら、ふたりの関係は今と違っていただろうか、と。 もう7年も前の話。 ふつうなら、そんな記憶は棚の奥で埃をかぶって色褪せているはずだ。 なのに、いつまでたってもピカピカの新品のまま。 それは彼が今もわたしのそばにいるから。 会社の、同僚として。
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