プロローグ

1/1
前へ
/86ページ
次へ

プロローグ

 いまだに心に引っかかっていることがある。  ――なあ、キスしていい?  あのとき、キスを交わしていたら、ふたりの関係は今と違っていただろうか、と。  もう7年も前の話。  ふつうなら、そんな記憶は棚の奥で埃をかぶって色褪せているはずだ。  なのに、いつまでたってもピカピカの新品のまま。  それは彼が今もわたしのそばにいるから。  会社の、同僚として。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

603人が本棚に入れています
本棚に追加