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第1話
茅ケ崎駅の改札を出ると、女性はメモに書いてある住所へと向かった。
手元の携帯の地図を頼りに、入り組んだ住宅街を進んで行く。
目的の家はもうすぐのはずだ。
女性は一軒一軒の家を確認しながら、慎重に歩いて行った。すると交差点に差し掛かった角に、探していた家はあった。
オレンジ色の漆喰壁が特徴のその家は、白い窓に白い扉、庭には秋咲きのバラが咲き誇り、まるでおとぎの国に出て来るような可愛らしい佇まいだった。
よく吟味して選んだと思われる新しい表札には、予想通りの名字がしっかりと刻まれていた。
そしてガレージには、見覚えのある車が停まっていた。
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