第8話

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店内は空いていた。 駅から少し離れたカフェなので、平日の朝はいつも空いているのだろう。 涼平がカウンターに行くと、男性の店員が注文を受けていた。 涼平はいつものグランデのコーヒーと、マフィンを一つ注文した。 男性店員は感じ良く対応し、すぐにトレーにコーヒーとマフィンを用意してくれた。 涼平は、空いた窓際の席に座ると、すぐに入れたてのコーヒーを一口飲んだ。 『やっぱり美味い!』   心の中でそう呟くと、マフィンを食べ始めた。 そして携帯を取り出し、ニュースなどをチェックしていると、カウンターの方から声が聞こえた。 「詩帆ちゃん、今度の日曜のシフト、変わってくれてありがとう」 「いえいえ。お子さんの運動会なんでしょう?」 「そうなんだよ。うっかり忘れてシフト入れちゃって、嫁さんに怒られちゃったよ」 先ほどの男性店員がそう言って笑った。 その言葉を聞いた詩帆という女性店員は、 「運動会、楽しみですね」 と言うと、棚の影から姿を見せた。
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