第2話

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「涼平、引っ越しは今度の土曜日か?」 加納は昼の休憩中、涼平にそう聞いた。 「はい。やっと菊田(きくた)さんのマンションに空きが出て、 先週リフォームが終わったみたいで」 涼平はそう答えた。 菊田という人物は、涼平と加納のサーフィン仲間で、歳は六十代。 辻堂のこの辺りの地主で、あちこちに賃貸マンションを所有していた。 涼平が、横浜のマンションから辻堂へ引っ越したいと言う話を サーフィン仲間にしているのを聞いて、 菊田がうちのマンションに入ればと言ってくれたのだった。 加納は涼平に、本当に引っ越しの手伝いに行かなくても大丈夫か?  と聞くと、 「先輩、独り者の引っ越しなんて、あっという間に終わりますから 大丈夫ですよ」 と言って笑った。
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