カーテンは空の色

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 家族でもない、友人でもない。恋という盲目の先にある愛を知った。それを知ったからこその幸せがたくさんあった。二人でなら乗り越えられる痛みや苦しみ。二人でなら二倍になる幸せや喜びの瞬間がたくさんあった。  それでも、いつの間にか私たちは二人ではなく独りずつになった。左手の薬指の繋がりが、証が、呪いのように感じる。  変わったのは、私か。彼なのか。答えはわからない。それでも、夫婦としての日々に終止符を打てないまま私はみっともなく縋りついた。未練しかない。幸せだったあの日に戻るための努力を、この足を、止めてしまえば。きっと、楽になれるのに。
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