4人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんの用ですか」
女性はじろりと睨みつけるようにこちらを向いた。そして私の顔を見た瞬間、嘲笑った。
「この間のババァじゃん」
「なにしに来てんの。今回呼ばれてないよね」
華恋が口を出した。やはり喧嘩腰だった。
「遥人くんから今日嫁と話し合いがあるって聞いたから私も参加させてもらおうと思って来たの」
「夫婦の話し合いなので、あなたは帰ってもらっていいですか」
「はぁ? 私からも慰謝料取るつもりのくせに、よく関係ないなんて言えるよね」
ちょうどそこに旦那が仕事から帰ってきた。車を停めると、驚いた顔で私たち三人を見ている。
「なんで……?」
「なんでってあなたが一番この状況をどうにかしなきゃいけないんでしょ」
華恋が喧嘩腰のまま旦那にまで強く言った。
「都子、ほら、話し合いをするんだろ。俺たち二人だけの話し合いだから、華恋さんと桜には後から連絡する。それでいいよな、都子?」
「いいえ、この四人でいいわ。全員家に上がって」
華恋が帰ってしまったら、きっと私はもう戦えなくなる。中途半端な態度でどちらからも嫌われないような態度を取ろうとする旦那には飽き飽きとしていた。玄関の鍵を開けて、旦那、桜と呼ばれた不倫相手、華恋が入っていく。
リビングに全員が集まったところで、私の隣に華恋、正面に旦那が座った。どこから切り出そうかと悩んでいると、華恋が助け舟を出してくれた。
「まずは旦那さん。都子のこと嫌いになったから不倫したわけ?」
「華恋さんには関係ない話ですよね。黙っていただけますか」
「黙らないわよ。私もこの話し合いの一人として参加させてもらっている以上、都子の友達として口出させてもらうわ」
そう言われると旦那は黙った。追い討ちをかけるように華恋がどうなのかと問い詰める。すると旦那は重い口を開いた。
「最初は都子とその、できなかったから、遊びだったんだ。だけど、都子から完全に拒絶されたとき、なんかどうでもいいやって投げやりになってしまった部分もあって。桜とそういうことをする関係になった。桜のことも大事だけど、それ以上に都子の方が大事なんだ」
「なんでそんなこと言うの!? 違うでしょ! 遥人くんは本気で私を愛してるって言ってくれてたじゃん。離婚して私と結婚するって言ってくれた!」
「本気にすんなよ。所詮、俺らは不倫関係なんだぞ。本当に家庭を捨てて不倫相手のところにいく男がいるかよ」
最初のコメントを投稿しよう!