カーテンは空の色

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不思議なことに、夜になるほど集中力が増した。そして、あっという間に十時をまわっていた。慌ててリビングに飛び出した。ダイニングテーブルの上にはおかずが乗ったお皿にラップがかけられていた。また、やらかしてしまったことに気づく。いつもこうだ。旦那にご飯を作ってもらったとき、完成すると毎回部屋まで呼びに来てくれる。それでも集中している私にその声は届かなくて、結果一緒に夕食を食べる機会を逃して一人で食べることになってしまう。謝ろうと寝室のドアを開けると既に眠っているようだった。部屋の明かりもスマホの明かりもない。  仕方なく、作ってもらったおかずを電子レンジで温めた。ご飯も炊飯器からよそって、窯を水につける。一人で夕食を食べるのも寂しくて、ついスマホを触ってしまう。同業者があげたイラストや、個展、企画など真新しいものを探していく。仕事用の宣伝を最後に載せてスマホの電源を落とした。  付き合い始め、お互い仕事を始める前の食事は楽しいものだった。いつもその日のくだらない出来事を話して盛り上がっていた。食事がただの生きるための行為なんかじゃなく、本当に楽しいものだと思えるようになったのは旦那のおかげだ。それが今はどうだ。私一人で食事をしている。一ヶ月に二人で食事をしている回数は何度あるのだろうか。  明日の夕食は旦那の番だ。今日代わってくれたから、明日は私が作ろう。明日こそは一緒に食事をして会話をしよう。レスなのもきっと、会話が足りてないせいなんだ。
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