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倦怠と絶望のオーケストラ
俺は、妻を失った喪失感に満たされていた。
妻の誕生日だからだ。
本当なら、盛大に50という歳を祝いたかった。
然し、妻は居ない。
交通事故が起きたのだ。
逆走してきた車にぶつかったのだ。
その男は、ベレー帽に似た帽子を車内であるにも関わらず被っていた。
ファッションには疎いから、細かいことは分からないのだ。
妻を喪わせた犯人が分かる手がかりに少しはなったのかな。
妻が、運転していた。
あの時の、「運転、変わる?」
と、
その一言があった。
俺はその時、かなり疲れていたから、
「あぁ、変わってくれ。」
と、
頼んでしまった。
また、倦怠と絶望のオーケストラが盛り上がってきたようだ。
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