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1-2 両想い、だったのに。
カレンがジョンズワートに初めて会ったのは2歳のとき。幼すぎたため、本人は彼との出会いを覚えていない。
親同士の仲がよかったために、2歳と5歳という早い段階で知り合うことになったのである。
デュライト公爵家とアーネスト伯爵家の領地は隣接しており、行き来するのも簡単だ。
当人たちの相性もよかったものだから、二人がよき幼馴染となるのも当然のことだった。
十にも満たない頃の3歳差というのは大きいもので。
6歳ほどのカレンがジョンズワートに抱く気持ちが恋心かどうかは定かではなかったけれど、ジョンズワートの方はカレンのことを異性として意識していたし、そういう意味で好きだった。
公爵家の跡取りであるジョンズワートを狙う少女とその親は多かったが――ジョンズワートの気持ちはカレンに向いていたから、彼らのアピールには意味がなく、むしろ、「やっぱりカレンがいいなあ」と思わせる材料となっていた。
ジョンズワートは元より優しい性格ではあるが、カレンのことが好きだから、彼女に喜んで欲しくて度々アーネスト家に足を運んでいたのである。
カレンの年齢が十を超えた頃、医師に「もう心配ないだろう」と言われたと聞き、家族と同等に喜んだのもジョンズワートだ。
幼いころから寝込みがちだった想い人が、普通に暮らせるようになったのだ。嬉しいに決まっている。
以降、ジョンズワートはカレンを外での遊びに誘うようになった。
無理をさせないよう、様子を見ながら。徐々に活動量や時間を増やして。
そういった気遣いと楽しい時間のおかげでカレンはすっかり元気になり、12歳の頃には庭を駆け回ることだってできるようになっていた。
カレン12歳。ジョンズワート15歳。
このときには、カレンもジョンズワートへの恋心を自覚していた。
カレンはアーネスト伯爵家の長女だが、兄がいる。
いつかはどこかの貴族と婚約し、嫁ぐことになるだろう。
結婚する時が来るのなら――相手はジョンズワートがいいと、密かに願っていた。
互いに口にはしなかったが、ジョンズワートもそれは同じで。結婚するならカレンがいいと思っていた。
好きだ、結婚したい、と言わなかっただけで、二人は確かに両想いだったのだ。
両家の親も二人の気持ちを感じ取っており、このまま仲の良い夫婦になってくれればいいと思っていた。
家族だけではない。カレンの従者であるチェストリー、ジョンズワートの部下で親友のアーティ。その他、周囲の人々。
皆が、二人の幸せな未来を描いていた。
しかし、あることをきっかけに、二人は疎遠になってしまった。
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