ねえ、りんごちょうだい?

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「……」  目が覚めたら、青い天井が見えた。何が起こったのだろう。 「気がつきましたか?」  店員さんが僕を見ていた。僕は慌てて体を起こした。 「ダメです。倒れたときは安静にしないと」  店員さんが体を支えてくれる。 「……僕はどうして?」 「目の前で急に倒れたのです。幸い、あなたのご友人が見ていてここまで運んでくださいました」 「新? ……新は?」  僕はキョロキョロと見渡す。 「彼なら、少し食べてくるからと外に出ていきました。私にあなたのことを頼むと」  もしかして、気を利かせてくれたのかな。新らしいけど。でも今はちょっと彼女と二人きりになるのは避けたかった。 「……あなたは、あの時の男の子ですか?」 「え?」  一瞬何を言われたのか理解できなかった。 「私に似顔絵をくれたり、オムライスに絵を描いてくれたり」 「覚えてる、の……?」  というか、やっぱりこの人があの時の「おねえちゃん」だったんだ。 「やはりあなたでしたか……。ずっと気になっていました。あなたが泣いたあの日、私が何か言ってしまったのかと。でも考えても考えてもわからなくて……。とうとう十五年も経ってしまいました」  「おねえちゃん」は、表情も抑揚もなく言う。 「そして、また私が何かあなたを悲しませることを言ってしまったのですね」 「……」  僕は、確かにさっき悲しいと思った。「おねえちゃん」が感情を持っていないから? 機械だから?  それとも……。
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