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「ふー、食った食った」
「すごい量食べたもんね」
「ああ、やっぱフェスってすげえな。とても一日じゃ食いつくせねえよ」
僕たちはあの後も、美味しそうな店を見つけては突撃し、買えるだけ買った。
用意されていたテーブルに買った食べ物を広げて一心不乱に食べていった。
「お、あのAIまだやってるな」
「え?」
後ろを振り返ると、さっきのAIの店員さんが呼び込みを続けていた。
「あいつ、もしかしてずっと一人でやってんじゃね?」
「そうなの、かな……」
ずっと一人なのか、あの子。
僕は心の中に雨が一滴降った感覚を覚えた。今は傘をさすほどではないけれど、このままいけば大雨になりそうな予感がした。
「気になるのか?」
「え?」
「行ってこいよ。俺しばらくここで休憩してるから」
ニッと笑った新の顔には、さっきまで抱いていたであろう彼女に対する嫌悪感は微塵も感じられなかった。
「……うん、ちょっと行ってくる」
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