いつかの 記録

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いつかの 記録

 とても辛いことがあって、行き先も決めずに車に乗り込み、適当にナビを打ち車を走らせたことがある。  たどり着いたのはナビの目的地ではない、福井の東尋坊だった。  観光としても自殺としても有名な場所だ。  死にたかったわけじゃない。  ただ冬の、その時は冬だったが、雪の舞い散る静かな東尋坊に一人で訪れたい。そんな気分だった。  道中ですでに雪が積もりはじめていた。  雪国育ちの自分としては、雪は別段嬉しくないし、むしろ煩わしい。  道は滑る、渋滞する、視界は悪い。でいい事がない。  だけど荒れている冬の日本海はよかった。
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