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綺羅星の先に
母親と主に光希の家を訪れると、近所の人たちが集まっていた。
夕飯を大勢で食べると、島の生活を取り戻したと思えたのだった.
懐かしい思い出話に花を咲かせ、笑いかけてくる島の人たち。
パリにも東京にもない安らぎがあった。
乾ききった砂が水を吸い込むように、心が満たされていく。
「ずっと、こうしていたいなあ」
光希と一緒に抜け出して丘に登りながらつぶやいた。
つないだ手には、確かな温もりがあった。
しっかりと、そして柔らかく握られていた。
人間の指はこんなにも細く繊細に動くのか。
優しくて強くて、儚い星の一つのように存在していた。
いつかは消えていく命が、精一杯輝きを放つ瞬間だった。
「ほら、あれが超新星だよ」
指で指したところが、ピンクに輝いていた。
島を出てから大学へ行って、宇宙開発に関わっていること。
人間のライフスタイルが大きく変わろうとしていること。
大勢の人を乗せて宇宙へ行く宇宙船の開発が進んでいること。
惑星探査、宇宙の彼方にあるたくさんの謎に思いを致した。
そして、天の川と夏の大三角形は変わらず鮮やかな絵を描いていた。
南の空にゆっくりと動く光があった。
「ISSを見ると、こうちゃんと繋がっている気がしたの」
パリの空で毎日探していた光は、故郷でも変わらない明るさだった。
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