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何がしたいのか、何が言いたいのか。
本当にわからなくて思わず困惑のまま無言でいればその子は戯けたような笑みを浮かべたまま床に降りた。
「ピーター・パンといえばティンクじゃない?
でもあいつ、役とはいえども性別も背格好も違うから怖がられると思って今屋根の上にいるんだけど呼んだほうがいい?」
何を勘違いしたのか、そんなもの誰が頼むか。と思って黙ってその子を睨みつければまた、にこりと微笑みかけられた。
背中越しに見える満月が、本当に薄気味悪いほどに暗い部屋を照らす。
今すぐ部屋の外に出てやりたいけれど今背中を見せたら、何故だか行けない気がして静かに息を飲み込んだ。
あぁ、本当に。
「おい」
突然。低い声が、後ろから聞こえてきた。
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