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小袋の中から取り出したのはまるで硝子玉のような綺麗な小さな球体で、それを徐に口の中へと放り込むから思わず目を見開いてしまった。
「ビー玉でしょ?!食べちゃ、」
「びーだま? 何それ。違うよ、飴玉」
ほら。と言って袋の中を見せてくれれば甘い香りと共にその中には色とりどりのガラス玉のような飴玉達が確かに中にたっぷり入っている。紛らわしいんだから、と小さくため息を漏らせばピーターが「ほら」と言って袋をこちらに突き出してきた。
「魔法の粉はあいにく持ち合わせてないから飴玉あげる」
「え?」
「これで向こうに行けるんだよ」
キラキラとまるでビー玉のように美しく輝く透明な小さな飴玉を恐る恐る袋の中から取り出して手のひらに乗せてみた。小さな麻袋とでも言うのかそれに入っていたモノだから、衛生面的にはどうなのだろうかなんて少し心配していればティンクもそれを取り出して口に放り込んでいる。きっと身体に害はないんだろうけど、どうしても信用ならない。
だがこうしていても時間が経つだけで勿体無い。なんとかなるだろう、と勢いよく飴玉を口に放り込めばほのかに甘く独特な香りが口と鼻の奥に広がって思わず目を見開いた。
「レモン?」
思わずでたフルーツの言葉にピーターは目をぱちくりしてからティンクと顔を見合わせた。
「……君はレモンなんだ」
「え、二人は違うの?」
つまらなさそうな声を漏らしたピーターに思わずそう声をかければ彼女は特に答えることもせずに可愛らしく笑みを浮かべ、そしてそのまま屋根に腰を下ろした。
せめて質問に答えて欲しい。飴玉を口の中で転がしながら楽しいことを考えることにした。楽しいこと、なんだろう。何があるのだろうか。普通に空を飛ぶ感覚は楽しそうだ。飛行機に乗った時だってあれだけワクワ
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