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『Welcome to Wonder ”END” land』
ふ、と目を覚ますと何故か森の中にいた。
「えっ!?!」
思わず驚いて体を起こし辺りを見渡せばあの二人は近くにいた。花畑の少し離れた森乃近くで横たわっている巨木に腰を掛け楽しそうに喋っていて、声を上げて起き上がったこちらに気がつくとピーターはこちらを見て愉快そうに、さらにケラケラと笑い、その隣にいるティンクは「やっと起きたか」と言わんばかりの呆れたような顔をしてこちらを見ている。
「やぁっと起きたよ〜。
お姉さんってば、起きるの遅いって」
「………ここは?」
「ネバーエンドランド! 終わりのない夢の国だよ、忘れちゃった? まぁずっと寝てたから仕方がないよねぇ」
そう言いながらあははと笑う彼女の言葉を聞きながら立ち上がれば背中がめちゃくちゃ痛い。花が絨毯のように地面に敷き詰められているとはいえどもそりゃ地面に寝ていたら身体が軋むわけだ。
せめてお前達の着ているコートやら上着とかを背中に敷いてくれたっていいじゃないか、と思い二人を睨みつつ少し身体を伸ばす。
ピーターが立ち上がってこちらへ歩いてくると渋々といった様子でティンクも後を追いかけるように歩き出してくるが、でかいから来なくていい。圧があって怖いので是非ともそこで立ち止まってくださいお願いします、と心の中で呟いた。だが心の声が彼らに届くわけもなく二人は近づいてきた。口に出せばいいなんてツッコミは不要である。
「お姉さん、体は平気?」
「背中が痛い以外には平気だけど、なんで」
わかりきってることをどうして聞いてくるのか、とジトリと睨みつければピーターはくすくすと笑いながら腕に抱きついてきた。可愛い顔をしているが騙されるつもりはない。
「だって急に寝ちゃうんだもん。
ティンクに運んでもらったんだけど乱暴だったからどっか痛めてないかなぁと思って!」
起きるまでその辺散歩してたけど。とあっけらかんというピーターに思わずなんとも言えない感情を抱いてしまった。
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