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「この桃色の塔をしてるのは髪長姫のラプンツェル・フィールズ。魔女のラプンツェル畑と、魔女の家、それから高い塔だけがあるだけのつまらない国だよ」
「え、つまんないの?」
「映画だとほとんど原作と違うからね。原作を知らない人の方が今は多いんじゃないのかなぁ……
まぁそこはまた扉に入った時に説明してあげるから」
うふふ、なんて楽しそうに笑うピーターになんともいえない感情を抱いた。夢の国なら楽しい国に扉をつければいいのに。意味がわからん、と思いつつも次の扉にうつる。
灰色のクッキーのような形をした扉の前へ移動するので追いかければその扉の奥からとても甘く良い香りがして思わず食欲がそそられてしまう。
「わかった、お菓子の家?」
「お、正解! この灰色のクッキーのはヘンゼルとグレーテルのスウィーツ・ハウス・ウッヅ。
まずは森の中の小屋から始まるんだけどね、進めば進ほどお菓子の家に近づいていけるし、その道中もモンスターとかゴーストとかいて楽しいんだよね〜」
「え、モンスター?」
襲われるやつじゃん。フラグじゃん。
ジトリ、とピーターを見ればこちらの感情をなんとなく察したのかケタケタと笑いながら「僕らは襲われないから」と言ってくる。本当に、もしかして心の声を読めるんじゃないのこいつと言わんばかりに都合の良い時だけ察しがよくて不気味だ。
オレンジ色の靴の形をした扉と黒いお城の形をした扉の間に立つピーターについていく。
「こっちの靴の形したのはオズの国とこっちの黒いのは……ま、入ってから説明するよ」
「なんか急に説明が下手くそになったんじゃない? 面倒臭い?」
「うん面倒臭い。さっさとどこにいくか決めてよ〜」
面倒臭そうにそういう彼女は飽きた、と言いながらあの飴玉をまた口に放り込んだ。最後までちゃんと説明していただきたい。適当もいいところだ、と思いながらもう一度扉を見渡した。
「気になるのは、やっぱりアリスかヘンゼルとグレーテルかな……」
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