『Welcome to Wonder ”END” land』

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 五日間?頭が可笑しいんじゃないだろうか。いや、ぶっ続けと言ってもちゃんと眠っているんだろう、じゃないと体力がきっと持たないだろう、なんて思っていたら後ろから「不眠不休でだぞ」と声が掛けられた。  心でも読んでるんじゃないかってタイミングだったから思わず肩が跳ね上がる。不気味に思いながらティンクの方を振り返れば彼は顔をあさっての方に向けている。 「俺も、最初は同じことを思った」  小さく、耳に届くか届かないかくらいの声量でつぶやかれた言葉に思わず目を見開いてしまう。そうだ、役と言えどもこのピーターも、ティンクも同じ人間なのだから少し変わりがあっても生まれた世界は同じなのだ。 「……つまり、私の常識はこの世界の非常識ってことだよね……」 「そうだね。君が普通と思ってることはワンダーランドじゃ普通じゃなかったり通用しないことがあるからね」 「例えば?」 「うーん、ティンクが来たばっかの時に言ってたの、なんだっけ」  そう言ってティンクの方を振り返れば彼は少しばかり前を見開いてピーターをみていた。まさか話を振られるとは思っていなかったのか、驚いた様子だがそんな顔を隠すように帽子を被り直した彼にピーターはにこりと微笑んで駆け寄った。  周りをくるくるとまわって「ねぇねぇなんだっけ」と問いかける様は玩具屋で親に強請る子どものようだし、それ以上に面白いのはあの強面のティンクの困惑顔が見られることだ。どうしたものかと少し慌てるティンクを面白がってさらにくるくると回っているピーター。図面が面白い、と思いながらも思わずくすくすと笑って見せた。  そうすればティンクは助けろと言わんばかりの睨みを聞かせてくるがこんな面白いことを見せられて止めるわけないだろうと小馬鹿にしたように笑えばさらに目付きを鋭くされてしまった。
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