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そんな声が聞こえてきて思わず生唾を呑み込んで緊張を覚えてしまうがピーターはまた落ち着いてきたのかこちらをみてからにっこりと微笑みかけてくる。それもまた怖くて、思わず身体が強張ってしまうが、彼女は気にした様子もなくティンクの背中に飛び乗った。
「ま、あの時はあの三人も罰則があったから死んじゃってもプラマイゼロだし、今の三役はちゃーんと役に則ってるから多分お姉さんも楽しめるよ」
「…………本当?」
「あ。今の話聞いて殺されないか不安なんでしょ? 最初に言ったじゃーん。
僕らはお姉さんを傷つけないし、守って案内する役目があるからそんなことしないよ。そんなことしたら僕らが怒られちゃう」
あはは、とあっけらかんと笑うのだから本当に彼女が何を考えてことをしゃべっているのか検討がつかない。何を思ってそう言う風に言えるのかその心情が一切わからない。
こちら側が恐怖を抱いたことだけは理解していながらも言った言葉に対して申し訳ないとか普通ないものか、と思いながらティンクを見れば彼は特に気にした様子もなく、本当にただの恥だと思っているのか小さくため息を漏らしてピーターを腕に抱きかかえた。
「殺すのが、普通なの?」
「え。普通なわけないじゃん。何言ってんの?」
変なこと言うね、と小馬鹿にしてくる笑みを浮かべた彼女に怒りを覚えた。なんなら頭を叩いてやりたい衝動を抑えつけながらとりあえず呼吸を整えてこちらも笑顔を貼り付けておいた。ピーターの後ろの方で「顔引き攣ってるぞ」なんて声はあえて聞かなかったことにしておこう。
「ルールを守れなかったら罰があるけど、それはその守れなかった時と場合によるよ。
アイツらはこの世界で酒を煽った。規則上。三月うさぎと帽子屋は紅茶でティーパーティをしなきゃいけないのにね。お酒はダメだよ。アリスは未成年だって言うのに。まぁ、アリスが来る前でよかったよ。
ま、その時のアリスが来た時には間に合わなかったから皆には自由にしてもらってたんだけどね」
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