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「お酒、なんてどうやって……ていうか、あるんだ」
「別にネバーエンドランドは基本的に陸続きではないけど、海は繋がってるからね。
裏で海賊から買おうと思えば買えるよ。この世界には役以外の人も多くいるからね……あ、そうそう。
この世界の住人は君に手は出せないって言ったけど、あぁいう花とか、この世界に最初からいる動物とかは下手すると君に手を出してくるかもしれないから気をつけなよ」
さらりと恐ろしいことを言い放ったぞ。
花とか動物が襲ってくるってなんだ、と思わず困惑した。ピーターはそんなこちら側に気がつかないのか敢えて放ったらかしにしているのかはわからないがそれでももう少しの説明が欲しくて歩き出そうとしたピーターの腕を掴んでしまった。
ぐ、と手に力を入れた瞬間。
地面に、倒れている。
一体、瞬きをするこの一瞬で何が起きたのかわからない。少し揺れる焦点を合わせてピーターを探せば驚いたように目を見開いて隣を見上げていた。
帽子のせいで目元に影が落ちたティンクの冷たい視線がこちらに向けられていて、その瞳と視線がぶつかった途端、背中がぶるりと震え上がった。これが、恐怖というやつだと確信した。ホラー映画や心霊番組で見るような怖さではない。
“死”が目前にまで迫ってきたという生物としての本能が感じさせているものである。
アイツは、私を殺しに来ている。
確実に、私を敵として認識していたのだ。いや、しているのだ。
なんで、どうしてそんなことに……私が、一体何をしたっていうのか。
そんなことを考えているうちにピーターが目の前まで迫ってきていた。思わず彼女の姿に大きく肩を跳ねさせてしまったことを後悔しながらその瞳を見ればこちらを心配するように眉尻を下げていた。
「ごめんね、ウェンディ。ティンク、最近ピリピリしてて」
「ぁ、えっと……」
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