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「ほら、ティンクのせいで怖がらせただろ!謝るんだ」
「……謝んねぇ」
「はぁー! もう! ティンクは後ろで見てるだけだからな!」
絶対前に来るなよ、と言って怒るピーターに思わず目をぱちくりとさせた。手をとって立ち上がらせてくれる彼女は確かにどことなく紳士っぽいな、なんて適当なことを考えながらピーターにそう言われたのが少しショックだったのか傷ついた顔を浮かべるティンクを横目に道を進み始めた。
「わ、私何かいけないことしちゃったかな」
「あぁ。多分僕の腕を掴んだからだよ。前に新しく連れてきた子がね、本当の意味で悪い子でさぁピーターになればもっと自由じゃんって言って僕に手を出そうとしてね。
多分、それが彼。ちょっとトラウマになってるんだと思うんだ。だから新しい役の子には結構厳しくてさ。だから別にウェンディが嫌いとかそう言うんじゃないから、今回は許してやってよ」
「そう、なんだ……でも、流石に怖かったかも……」
「だよね。当分はあぁやって離れて後ろからついてくるだけだから大丈夫だよ。何かあったら普通に僕に声かけてくれていいから」
そう言って微笑んだ彼はまたレンガの道をカツカツと靴で鳴らしながら歩いていく。チラリと後ろを見れば少し項垂れてあからさまにショックを受けているかのような態度を見せるティンクが見えた。まぁ自業自得なんだし、いい気味だと思う反面、そう言う理由があるのなら口で言ってくれればという同情の感情も胸にあった。
ピーターは気にした様子もなくさっき引っこ抜いたフラワーを道の端に放り捨てた。その様子を見ていた悪口を言う花だと紹介された花々は顔の部分を少しばかり青くさせて震えてる。うん、色々可笑しいところはあるがあえてそこは放置していただきたい。そう言うしかないのだ。
なんとも言えない表情で手の代わりに動かす葉でコソコソと何かを耳打ちするように小声で話し始める彼女(?)達を見下ろしていればそれに気がついたピーターが花を思い切り踏み潰した。
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