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『A Mad Tea – Party』
今まで耳に届いていたクスクスと鬱陶しい、まるで陰口を叩いたり噂話をする女子達のようなささめきたつそんな声と自分達が歩く靴とタイル、靴と地面がぶつかる音が聞こえない。それが一等心地よいがそれよりも、食器達が軽くぶつかるカチカチという音やどこからともなく流れ聞こえてくる楽器達の鳴り響く楽しそうな音達。
それは、一度に一つの『曲』を鳴らしているようには聞こえない。なんならよく聞けば一つ一つが自分勝手に、好きなように音を鳴らしている。だが、それがまた上手い具合に重なり合ってどこか胸の躍るような曲に聞こえてくるのだ。
今までいた森はどこか薄暗く、仄暗い雰囲気が漂っていて気が滅入りそうになっていたのに。
ここはとても明るい。
花々が生きているが、森の中のものとは違って楽しそうに笑って歌うように声を上げたり何かを喋ったりお茶会の真似事のように手を模した葉でティーカップを掲げている。
周りは確かに森だが、ここだけは開けていて明るく見える黄色のような大空が広がっていてその上にはすがすがしい爽やかな明るい輝きを放つ目をつむって穏やかに微笑む太陽が浮かんでいる。
純白の雲は柔らかくただそこに浮かんでいて。太陽の顔と空の色以外は本当に普通の空と変わりなく、だがそれだけだとしても物凄く明るく感じる。
開けたその空間の中央には可愛らしいアーリーアメリカンスタイルとでも言うのか。パステルカラーの可愛らしい家が立っていて、周りには普通の植物も生けてありそれも相まって本当に可愛らしい雰囲気の庭もある。
家と庭の周りを木を白く塗ったウッドフェンスが張り巡らされていて、そのフェンスの中の庭からは湯気や楽しそうな笑い声や話し声が聞こえてくる。
「狂ったティーパーティ。本当にやってるんだ……」
思わず漏れ出てしまった言葉にピーターはどことなく愉快げな笑いをこぼしながらこちらに顔を向けてきた。
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