『A Mad Tea – Party』

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 沈む感覚のある、柔らかい素材。座り心地の良いそのソファに驚いていればピーターが目の前にジュースを置いてくれた。 「え、ありがとう」 「ここで休憩にするしね。ティンクも多分ここに来るから、のんびりおしゃべりでもしようぜ。あ、おい帽子屋。この子に挨拶」 「あぁ、それは………挨拶が遅れて申し訳無い。ご機嫌麗しゅう、レディ」  わざわざ椅子から立ち上がりいつの間にか奪え返していたらしいシルクハットを脱いで頭を下げる男に思わず立ち上がって頭を下げた。 「山し、」 「あ。名前は名乗っちゃダメだよ。役名で挨拶。これは基本的なルール!」  ダメだからね!と可愛らしく怒るピーターの声にそういうものなのか、と思ってしまえば帽子屋がくすくすと笑っているのが視界の端に見える。何か、と思いながら彼を見れば愉快そうに笑いながらシルクハットを被り直し椅子に座った。 「ウェンディは此処の事をあまり理解していなさそうだ。  ちゃんと説明をしてあげないとダメだろう?」 「うわ、ここに来て普通に話し始めやがった……」  怪訝げに顔を歪めるピーターの言葉に帽子屋は愉快げな表情を浮かべてピーターに空のグラスを手渡した。彼女はそれを受け取ると嫌そうな顔をしてはいるがそれ以上は口を開くこともせずにテーブルの上に浮かんでいたティーポットを手に取った。  グラスに注がれたのは綺麗な、まるで夜空のような綺麗な色の液体で。その中には夜空に浮かぶ星のような輝きを見せる小さな何かが点在している。どことなく不思議だが視線を奪われるほどにどこか魅力的なもので思わず見入ってしまう。 「ウェンディも飲むかい?」  にこやかに微笑む帽子屋の言葉に思わず肩を跳ねさせてしまった。  恐る恐ると、男を見れば細められた瞳はどことなく不気味に爛々としている。 「わ、私は、大丈夫です……」
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