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「いや、えっと……すごい綺麗な目だなと思って」
「あはは、そう? このネバーエンドランドじゃそう珍しい色でもないよ。
おねえさんの黒髪と黒い目の方が珍しかったりするからね。黒い目、とぉってもきれぃ」
うっとりと、少し頬を赤らめて微笑んで手を伸ばす彼に少しの不気味さを感じて背中を仰け反らせた。そんな彼女にハッとしてからヤマネがチラリとピーターを見れば興味なさげに虚空を眺めている。
「そう言えば?ティンクはどこ?見かけないけど」
「えっと……チェシャ猫と言い合いしちゃったから、ピーターが怒って放って来たの」
そう言えばヤマネはなんとも言えない表情を浮かべて「あぁ……」と何となく想像がついたらしく声を漏らして頬をポリポリとかいた。
「あの二人仲悪いからね。役についてる大人は仲悪いの多いから喧嘩に巻き込まれないように気をつけてね」
「え、仲悪いの?」
「そ。帽子屋は前にいたハートの王様。
白うさぎのやつは三月うさぎを一方的に嫌ってるし、チェシャは他にも狼とかと仲悪いし」
先ほどまでの眠気はどこにいったのだろうか、ペラペラと喋り始めるヤマネに思わず驚いてしまうがまぁ、それが彼なのだろうと取り敢えず自己完結させておく。だって気にしたところでどうせ「不思議の国だから」って済まされそうな気がするし、なんて思いつつ彼女はまたケーキにフォークを突き刺した。
「因みにぼくも猫とは仲悪いよ。
普通にあいつが嫌いってのもあるけどねぇ」
「そ、そうなんだ……」
「原作もそうだよね。まぁ眠りネズミが怖がってるシーンしか映画にはないけど」
はは、と言って笑うヤマネに案外普通の子だな、なんて思いつつ思わず笑みをこぼしてしまう。
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