『A Mad Tea – Party』

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 その姿はどこか小さなリスを思わせる。頬いっぱいにクッキーを頬張るその姿は可愛らしいものである。 「あ。そういえば」  突然思い出したのはこの世界に来てすぐくらいの時に話した内容だった。  声を漏らしたことに不思議そうにヤマネとピーターがこちらに視線を向けてきた。 「アリス、パーティにいるって言ってたのに。もうどこかいっちゃったの?」 「あぁ。そう言えばそうだよね。もうパーティの時間でしょ?」  ピーターも思い出したように言うのだから忘れていたのだと思う。二人で揃ってヤマネを見れば彼も不思議そうに首を傾げていた。 「アリスならまだ来ていない」  ヤマネの代わりに声を漏らしたのは家から出てきた帽子屋だった。  何かの鍵を持ってやってきた帽子屋はくすくすと笑いながらゲートを開いて庭へと入ってきた。 「今日中には辿り着くと思っていたのだが、どうもその様子もなく白うさぎもまだ来る気配がないところを見るとイレギュラーがあったのではないだろうか?」  そう言ってチラリとピーターを見る帽子屋の言葉に彼女は気にした様子もなくまだ夜空色のジュースをグラスに注いでいる。  本当に変なジュースを好んでよく飲めるものだな、と思いつつそのまま三月うさぎへと向かって歩いていく帽子屋を見つめる。一体何をするつもりなんだろう。 「まるで僕が悪いみたいな言い方するよね。あいつ」 「ははは、アリスの選出は君がしたのだろう」 「生憎。ロストボーイにさせたんだよ。相性的な問題もあるしね」  アリスって僕嫌い。と言いながらジャムサンドを頬張るピーターにヤマネはなんとも言えない表情を浮かべている。 「あの飴玉って美味しいの?」 「お姉さんも食べたじゃん、ここにくる前に。正確にはネバーエンドランドにくる前に」 「え?! あのビー玉みたいなのがあれ!?」 「うん。まぁある種の薬みたいなのだよね。  あっちの世界の人が食べたらこっちにこられるけど、こっちの奴らが食べたらハッピーになれる薬って感じ」  それってやばい薬なんじゃないの? え、大丈夫??  思わずそう考えてからチラリと帽子屋の方に視線を向ければ丁度、瓶の蓋を開けるところだった。
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