『A Mad Tea – Party』

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 鍵を三月うさぎの目の前で揺らす帽子屋にその暗い瞳でじっとその鈍い色をした鍵を見つめている。瓶の中が欲しいのに、鍵を取ろうとしないのは何故なのだろうか。というか、欲しいのなら叩き割ってでも取ればいいのに。なんて考えたところで帽子屋が肩を竦めたのが視界に入った。  鍵を机の上に置いた彼はそのまま三月うさぎを一瞥することもなくそのままこちらへと近づいてくる。諦めが早いのでは、と思っていれば帽子屋はくすくすと突然笑い出した。 「三月うさぎは瓶の冷たい心地良さに睡っている様だ」 「嘘つけ。鍵見てるぞ、お前あれ全部食われてもいつもの日まで上げないからね」 「躾はしてあるさ。そうそう全部は食べないだろう」  そう言って椅子に腰を落ち着かせた帽子屋の言葉にピーターは呆れた表情を浮かべてから机の上に腰を下ろした。 「まぁ、別に全部食べたところでどうにもならないだろ。  それで白うさぎはいつ頃来るんだよ。アリスに会わせて他の奴らのところも回らなきゃいけないんだ」 「ピーター・パンはお忙しいようで。  そうだね、約束はしていないが本来ならばもうそろそろで到着時刻になるだろう。はは、彼の時計が二日遅れていなければの話だが」  二日遅れていたら遅刻だよ、と鼻で笑う帽子屋の言葉に杏里はなんとなく映画を思い出しあれの通りだななんて思いながらフルーツティをもう一口飲んで喉を潤した。  仄かな果実の香りと甘味が身体中に広がる感じが、本当に心が穏やかになる。と思っていれば急に三月うさぎが視界の端で鍵を手に取って無表情のまま鍵をガチャガチャと音を鳴らしながら開けようとし始めた。 「悪趣味」  ヤマネが呟いた言葉に、一体なんのことかわからずに首を傾げていれば彼は立ち上がった。  思っていたよりも大きな彼に驚いて見つめていれば彼は怒りの形相で頭を掻きむしり始めた。掻きむしる、と言うよりもまるで自身を傷つけるようなその行動に目を見開いた。
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