『A Mad Tea – Party』

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 きっと自分の前では話してはいけないことなのだろう、となんとなく杏里も察してフルーツティの最後の一口を飲み干した。  空になったところでピーターがすかさずおかわりを注いでくれたので「ありがとう」とだけ言葉を漏らしておいたら彼女は嬉しそうににこりと笑ってジャムを乗せたケーキの向こう側にあったアップルパイを手に取り頬張った。  とても美味しそうに食べるが、もう正直胸焼けがすごいから遠慮したいところである。 「海賊の禁止売買増えてきたね……ちょっとどうにかしないと」 「え、ワンダーランドにも海賊がいるの?」 「あぁ。このネバーエンドランドは扉で行き来が出来るが陸続きじゃない。だが海で繋がっているのさ」  ワンダーランドも周りは海だ。と言って紅茶を優雅に飲む帽子屋の姿は本当にどこかのお貴族様のように優美である。  身長は低いが、なんで思った所で咳払いする声が聞こえてきた。   「ティンク」    咳払いの聞こえた方に目を向ける前にピーターの嬉しそうな声が響いて、動いていた茶器や食器達が動きをぴたりと止めた。
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