『A Mad Tea – Party』

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 なんというか、恋人に見えると思ったがどうしてかあの二人は親子にも見える。見た目の差はあるのだが、どうしてもティンクの方が子どもに見えてしまうのは仕方がないと思う。 「あの二人って、なんなの?」  思わず聞いてしまった言葉にやってしまったと思った。聞くつもりはなく心の中で留めておくつもりだったのだが、漏れ出てしまったのは仕方のないことではあるが杏里の言葉を聞いてヤマネは少し考え込むように腕を組んで、顎に手を触れた。  考えて考えて首を傾げて、ヤマネは眉間に少し皺を寄せながら腕を組み直してから杏里を見た。 「ティンカーベル役とピーターパン役」 「じゃなくて……なんて言えばいいのか……」  二人の関係性を聞きたいのだがどう聞いたらいいものか、なんて考えていればヤマネは少し考えてからテーブルの上にあった小さなマシュマロを摘んだ。 「あの二人は僕が来る前からずっといるから詳しいことはあんまり知らないよ。  でも、ティンクが思っている以上に、ピーターは彼奴の事、好きだからなぁ……」  本当に色々狂ってる、と。  まるで悪意を吐き捨てるような冷たい眼差しと声色に背中を悪寒が駆け巡った。人間は、ここまで冷たい色で他人を見ることができるのかとそんなことを思ったのだ。  見たことのない悪意がヤマネからピーターとティンクに向けられているのは、流石の彼女でもわかることで、思わずと言った様子で彼から視線を背けてしまったのも仕方のないことなのだ。  杏里が静まり返ったのに気がついたのかヤマネがチラリと視線をこちらに向けたのがどうしてかすぐに気がついてしまった。緊張が走る感覚になんともいえない感情が胸に広がってくる。 「怖くなった?僕のこと」  少し不安そうな表情を浮かべて顔を覗き込んでくるヤマネの豊かな草原のような明るい黄緑色の瞳が、杏里の強張った顔を映し出した。
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