『A Mad Tea – Party』

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「はいはーい、ストップ」  ヤマネと杏里の間にピーターの手がかざされた。  会話を止められたことでヤマネは怪訝そうに顔を歪めピーターを睨み付けたが、彼女はどこ吹く風といった様子でとても幸せそうにニコニコと笑っているだけで杏里を一度見るとすぐさまヤマネの方に目を向けた。 「……規約は?」 「……絶対。悪かったよ、ちょっと悪ふざけがすぎた」  少しばかり顔色が悪くなりつつピーターから視線を外したヤマネに彼女の背中しか見えない杏里は首を傾げた。だがチラリと視線をティンクの方に向けてからそちらを見なければよかったと後悔した。  怒りなんて言葉は生易しすぎるほどに、影の降りた狂い切った表情をヤマネに向けている彼を見て勢いよく視線を外してしまった。  どうしてこの世界の人は最も簡単にあんなにも恐ろしい表情を浮かべることができるのか本当に理解ができない。まぁ考えたところでどうにもならないのだがそれにしてもあの顔は見ていられない。見続けたらきっと恐怖でどうにかなってしまいそうだから視線が合わせられないのは仕方のないことだと思って欲しい。 「それに、帽子屋。お前、ちゃんと手綱握っておけっていたでしょ。  こういうこと勝手にされると予定が狂うんだよ、責任感持ってくれるかな」 「ははは。私は私の仕事をきちんとこなしているつもりだが?無理難題を押し付けないで頂こう。若人は失敗して学ぶものだよ」  呆れ返った表情で帽子屋を見れば彼は飄々とした様子でクフクフと笑ってカップをソーサーに置いた。三月うさぎは手づかみでホールケーキを食べている。なんて自由な男なんだろうか、と少し呆れた様子を覚えながらもう一度ヤマネを見ようとすれば目の前にピーターがいて思わずのけぞってしまった。 「な、なに?」 「ううん。楽しそうでよかったよ〜。  ほら、ここってトチ狂ってる奴が多いでしょ?それにティンクと、特にここの連中は相性が悪いからさぁ〜」  途中で気を悪くしたらと思って!なんて、思ってもいなさそうなことを漏らす彼女に思わず信じられず怪訝な表情を浮かべてしまった。
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