Ep,00 Prologue

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Ep,00 Prologue

 本当に、些細なことだった。 「そんなんだからアンタは弟と比べて成績が悪いんでしょ!?」 「は!? 今、清くん関係ないじゃん!」  本当に。些細な言い合いだったのだ。  友達と遊んだり、部活ばかりに気を取られて、成績が悪くなり始めた。中学の二学期の中間試験でそれが顕著に出てしまった、ただの親子喧嘩だった。 「前にも約束したけどもう見過ごせないわ。今後、塾に行ってもらうから」 「塾なんて行ってる暇ある訳ないでしょ!? もうすぐ部活の大会だってあるし、」 「中学の部活ぐらいどうでもいいわ! アンタにはもっと将来があるの!」 「勉強だけが全部じゃないでしょ!?」 「勉強の基礎も出来てないのに偉そうなことばっか……口ばかり達者になって!」  自分が悪いことも理解していた。だけど、頭ごなしな母親の言葉は本当に腹が立ったし、勝手に予定を組んでこちらの意思も聞かない母親の行動に怒りを覚えたのだ。  本当に、いつもの言い合いだと思ってた。 「お母さんのそういうとこ嫌い! 私のこと何も考えてくれないじゃん!」 「アンタのこと考えてのことでしょ!? 成績も悪い、約束も守れない。そんな悪い子に育てたつもり……」 「何も考えてないじゃん! 部活だって、私の大事なものなの!」  ふざけないで、と叫んだところで母親は肩を振るわせた。いつもならこのあたりで拳骨が飛んでくるのだが、今日は飛んでこない。  何か、と思い顔を上げて母親を見れば哀愁に満ちた、絶望したような表情を見せている。 「……こんな私が嫌いなら、産まなきゃ、」  
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