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湖の底には怪物がいた。
寂しがり屋の、けれどとても恥ずかしがり屋の怪物だった。
怪物はとても恥ずかしがり屋だったので、夜にしか姿を現さなかった。
そして綺麗なお月様を見上げて、一人で真似をして遊んでいた。
お月様が光ると怪物も光る。
お月様が欠けると怪物も欠ける。
風が吹くとゆらゆら身体を揺らし、一人寂しく笑っていた。
ラァラはお月様が好きだった。
まん丸なお月様が好きだった。
あれを捕まえて部屋に飾っておけたら、どんなにか幸せだろうと夢見ていた。
そしていつもより少し夜更かしした夜、ラァラは湖に浮かぶ光の玉を見つけた。
ラァラはとても喜んで、あんなにお月様に似ているのなら、あれでもかまわないわと思った。
遠いお空にあるお月様は無理でも、湖に浮かんでいるそっくりなものはラァラにも捕まえられそうだった。
ラァラは急いで家を飛び出して、湖に向かって走っていった。
急に可愛いお友達がやってきたので、怪物はとても驚いて激しく身体を揺らした。
ラァラは揺ら揺らと逃げ出そうとするそれを必死に捕まえようとした。
やがて怪物は楽しくなって、ラァラとずっと遊びたいと思った。
怪物はラァラをつれて、ゆっくり住処へ戻っていった。
ラァラと怪物は永遠に友達になった。
そして、夜が明けた。
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