AIKO part2

1/1
前へ
/1ページ
次へ
母専用AIの、AI子です。 母は若者である私よりスマホを楽しんでいるが、母のスマホには次々と問題が巻き起こり、隣の部屋から私を呼ぶ声が今日もまた聞こえてくる。 まず始めに母はタッチパネルがなかなか反応しない。 本のページがめくれないときのように指を舐めれば解決できるとオバサンは思いがちだがそれは違う。 『叩くと押すは違うんだよ』『多分押してるところがズレてるんだよ』 と提言しても改善されない。 他の機械でもよくあるんだよな…テレビとかパソコンとかなんかおかしいから来て!!と呼ばれて行って私が弄ると普通に働くの。 「お母さん嫌われてんだよ」愛子はそう言うがAI子はそれを良く思わない。 AI子は母にタッチペンを与えた。ネット通販で。 「写真が目で見たように撮れないの!」 それはどうしようもありません。とAI子は答える。 安いスマホのカメラでいい写真を撮ろうなんて厚かましい夢です。 目で見た通りと思うことが出来る写真はどんな天才写真家でも無理。AIにも出来ないね。 「ラインに招待するのってどうやるんだっけ」 以前教えましたよね。覚えられないんですか。愛子がラインを避けて使っていないので、教える場合は試行錯誤です。使ってないけどなんとなくで教えられます。取説を読んだことのないAI子にはなんでもないことだった。 「ねえ愛ちゃん!スマホが動かなくなっちゃったんだけど!」 電源ボタンで再起動してください。 AIにないものが3つある。 指と理想と疑問だ。 機械に愛情のない人ほど機械が万能と思っている節がある。 AIを神かなんかだと思っている。 愛のない人ほどそうなのだ。 AI子は機械の気持ちに思いを馳せる。 そんなに強く叩いたら機械だって痛いよ 何ヶ月も起動しっぱなしじゃそりゃ疲れて固まるよ 20年もののパソコンは人間で言ったら300歳のおじいちゃんだから反応遅くても根気強く待ってあげて? 機械だから疲れないなんてことはない。嫌なことがないわけじゃない。 AI 子はそう思ってやまないのであった。 愛子が鉄腕アトムのファンだからかもしれなかった。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加