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記憶
いつもの男二人がまひるの家に来たのはその日の夕飯時の十九時だった。
チャイムの音が玄関から聞こえた。
「ピンポーン、ピンポーン」
須藤喜美子は玄関に出た「はい、今開けます。お忙しいところ済みません」
男二人は言った「本当なんですか?まひるが気づいたと言うのは?だとしたら失敗ですね。どうしましょうかこの後〜」
「うちの娘です。だから今まで通り置いてください」
男は言った「三人ともですか?」
喜美子と節夫は言った「三人とは?」
また男は言った「喜美子さんと節夫さんは正常みたいですね。今からお話致します」
須藤節夫と喜美子は夕飯の支度ができたので、男二人と須藤家は夕飯が用意されているテーブルの席に座った。
「簡単な夕食ですがどうぞ召し上がってください」
まひるは「その前に本当の事を教えていただけませんか?」そう男二人に言った。
男二人は「宜しいですか?」と節夫と喜美子に言った「はい、まひるが聞きたいのであればお願い致します」
男は「そうですか」そう言って名刺をまひるに渡した。その名刺には「AI研究所熊井宗介」「AI研究所岸本政夫」と書いてあった。
まひるは「お二人ともAI研究所の方なんですね。私の事を昔から知っていたんですか?」
まひるの質問に「知ってたよ。三十年も前からね」そう答えた。
「三十年も前って?私そんな歳じゃないですよ」男は言った「確かにそうだね。まひろさんはまだ小学生だからね。君達は僕達研究者が作り上げたんだよ。
ここからは気を落とさずに聞いて欲しい
まひるさんとご両親の節夫さんと喜美子さんをね。君達三人はもう死んでるんだよ。
だから僕達が君達を作り上げた。死ぬ前にご両親に頼まれてね」
須藤節夫と喜美子はショックを受けた「えっ?私達も?娘だけですよね?何かの間違いですよね?」男は言った「いいえ本当の事です。節夫さんあなたの会社はどこですか?」
男の問いに「会社は〜」節夫は答えられなかった
そして更に男は言った「やはりお二人も寿命のようですね。これから真実をお話し致します」そう言って男は話し始めた。
「三十年前本物の節夫さんと喜美子さんの娘須藤まひるさんは生まれてまもなく病気で亡くなってしまったんです。節夫さんと喜美子さんはそれはそれは嘆き苦しみました。私もお二人が心配でこの家に度々来ていました。まひるさんのご両親は私達と同じAIの研究者だったんです。当時節夫さんは私に言いました。もう一度あの子に会いたい。会って抱きしめたいと私はなんとかしようと研究を重ねました。
当時まだ研究所で働いていた節夫さんも喜美子さんも一緒に研究をしたのです。
ところが何年経ってもまひるさんそっくりのAIの機械でできた人間はできなかった。
そんな時、赤ちゃんロボットじゃなく小学生くらいなら幼稚園くらいならできるかもしれないとわかってきたのです。
私達は幼稚園のまひる小学生のまひるを作る事に成功しました。
まひるさんの機械の脳のメンテナンスをする為にいつも私達は定期的に来ていたのです。
まひるさんは覚えていないかも知れませんが?その時あなたとご両親は眠っていたのです。
私達の事を見たとしたら機械が見せた夢のような幻だったのです。
ところが、ご両親は幼稚園のまひると小学生のまひるを初めて見た時、過労で倒れてしまったのです。そしてお二人とも病院に搬送されたんです。ところがご両親はどんどん衰弱していきましたそして、二人は病院で苦しみ始めたんです。
その時、ご両親は私に言ったんです。
もう、長くないだから私達が死んだら私達もロボットにしてほしいそう頼んで来ました。
でも僕達二人はAI研究者です。いい事を考えたんですよ。
お二人とももう、長くないって言ってたんですが主治医の先生はゆっくり休んで薬を飲んでいれば治ると言ってたんですよ。
でも僕達はご両親もロボットにして研究をしたくなった。だから僕は毎日ご両親に言い続けたんです。
お二人の病気は深刻だそうです。確かに余命は後わずかですわかりましたロボットにしますと、気は病からと言いますからね。
駄目だ駄目だと言われれば本当に駄目になってしまい死んでしまうんですよ。
僕は毎日毎日余命僅かで深刻だとお二人に言い続けました。
僕は手を汚さず勝手にお二人は治癒力を失って勝手に死んだだけですよ。さあこれで全部です。
食事をいただきますね」
まひるは「えっ?私達はロボットの家族誰にも知られなかったんですか?」
男は言った「誰にも気づかれないくらいあなた達は人間そっくりのAIのロボットですよ。
じゃあこれを食べたら行きますか?AIだけの世界へ私達の研究所へあと一つ言っておきますが、喜美子さんと節夫さんが死んでからAIにした後僕達もAlのロボットになってみたくなってね。ロボットにしてもらったんだよ。
今僕達がいるAI研究所の中には人間なんていないよ。
今日本は高齢化社会で問題になっているね。僕達機械ロボットは死なないし人間よりも働ける。今研究所で作っているのは赤ちゃんから働き盛りの若者なんだよ。
三人とも研究室で仕事を手伝ってくれ。
その時、節夫と喜美子は「わかりました。まず夕食を食べて荷造りしてから行きましょう」節夫と喜美子は冷静に言った。
まひるは自分達がこの男二人に殺されたのに何で冷静なのだろうか?機械だからなのか?不思議に思っていた。
男二人はスープを飲んでフランスパンやサラダを口にした。すると二人は急に苦しみ出し泡を吹いて床に椅子ごと倒れた。そしてそのまま二人は死んだ。男が死ぬ前両親は言った「何もかも思い出したの。この二人が私達を殺した事をね。だから私も仕返しをしたのよ。あなた達二人はまだ人間だと思ったからね」両親は男二人の遺体を研究所に渡してこう言った「この遺体を機械にしてください」と言った。研究所の研究者は喜美子に言った「ありがとうございます。これで私達が機械にされる事はなくなります」と。
須藤家は何事もなかったようにいつもの普通の生活に戻る事ができた。
三人を人間だと信じて疑う者は誰一人いないと思っていた。
ただ一人の警察官を除いては
その警察官は毎日須藤家をじっと見ていた。。。
完
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